チンパンジー言語訓練ブログ

ぜひ目次を見て下さい(一番上の記事です)。twitter:@chimp_liuwusi

「憎たらしい」という言葉について ~「愛のある」罵倒、皮肉の難しさ~

「憎たらしい」は否定的な意味を持つ形容詞か?それとも好意的な意味だろうか。

私のそれなりに仲の良い友人に、「お前は憎たらしい奴だ」といった旨(もちろん「憎たらしい」という単語はそのまま用いている)の事を言ったのであるが、私の友人は、それを100%ネガティブなものととらえたようであった。そして、私はそれに驚いてしまった。

大辞林という辞書によると、この語は、いかにも憎らしいという意味らしい。

なるほど、友人がネガティブにとらえ、あるいは私が彼を傷つけてしまった可能性が存在するのは当然だ。ところで、今回問題にしたいのは、彼がネガティブにとらえた時に、私が驚いたということなのだ。

なぜ私は驚いたのか?それは、「憎たらしい」という単語を、通常ネガティブな意味で使わないという常識が私の中に根付いていたからである。

「憎たらしい」という単語は日常生活の中でどう使われているのだろうか?私の日常での話ではあるが、この語をネガティブな意味で日常会話で用いた記憶は、私にはない(おそらく少なくとも一度はそう用いたことがあるのだろうが、覚えていないという意味である)。

私の日常会話ではこの語はある程度仲のよい人物をからかう(この表現が正しい自信はない)時に用いる。もちろん、ネガティブな意味も多少は持ち合わせているのだが、その意味合いは少ない。しかし、どのような意味合いで多くを占められているのかと問われると、回答に困る。長い歴史を持つ日本語にはこれを表すのにぴったりな単語が存在するのかもしれないが。私の少ない語彙ではそれは思い当たらない。

仕方がないので、私にとって「憎たらしい」に多く含有されている意味Xを、同じく多く含有する(これはおそらく、この言葉を用いる人にとってはだれでもそう感じるはずである)言葉を紹介しようと思う。

「いけずやわぁ」

これは、私の思う意味Xを多く含有する言葉であると思う。同じく大辞林によると、いけずとは意地が悪い人やそのさま、もしくは、悪人、ならず者という意味らしい。「憎たらしい」と意味が近い。

「いけずやわぁ」とは主に関西で使われる言葉である。

今回、「憎たらしい」をめぐって私と友人の間に誤解が生じてしまった原因を私はこう予想する。

「憎たらしい」や、「いけず」などのネガティブな言葉を用いて、相手をからかったり、説明が困難な前述した意味Xを意図する文化は、関西にのみ根強く存在していて、関西以外ではこれら、またその他のネガティブな言葉をそのように使う文化はあまり根付いていないのではないか?

この仮説には一つ問題がある。というのは、その友人は関西出身なのである。しかし、彼は今、二年ほど関西から離れている。この二年で現地の方言にもかなり順応してきているようである。この二年が、彼に関西の語法を忘れさせてしまったのか?それとも同じ関西でも語法が、例えば身分によって異なっているのかもしれない。

いずれにせよ、この疑問の答えは簡単に出そうにもない。

※追記

そういえば、小憎たらしいという言葉もありますね。使ったことないですが。