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チンパンジー言語訓練ブログ

このブログは私(チンパンジー)の言語訓練に用いられます。

想像/創造の余地について① ~魔法少女まどかマギカはなぜあそこまで盛り上がったか?~

映画などで最終的な結末をぼかしたまま終わらせることがある。「あとはご想像にお任せします」とか、「オレたちの冒険はまだまだ続くぜ!」とか、「この物語は終わりません、主人公はあなた自身です」というやつだ。これを世間一般ではおそらく、「想像の余地を残す」と言うだろう。しかし、現在では想像の余地は、創造の余地にもなっている。そう、日本で盛んな二次創作だ。二次創作は、アニメや映画、漫画などの日本の文化とは、切っても切り離せない関係だ。日本において二次創作は、その元となるコンテンツを最も盛り上げさせる要素と言ってもいいかもしれない。

もしあなたがプロデューサーで、あるアニメを盛り上げさせたい場合、手っ取り早いのが、創造の余地を残して二次創作を促進させる事だと私は思う。盛り上げる、つまり見てくれる人を増やすにあたっては、ツイッターなどで流れる「評判」が非常に重要である。ツイッターなどSNSで何としても話題にならなくてはならない。想像/創造の余地を残し、二次創作や展開予想、考察などを促進することは、話題にするためには非常に有効な手段ではないだろうか。

一つ例を挙げる。2011年で最も面白いアニメの一つと言われる「魔法少女まどかマギカ」だ。私はこのアニメをリアルタイムで見ていたが、とにかく異常に盛り上がった。異常としか言いようがないレベルだ。なぜこのアニメはここまで盛り上がったのか。要因はいくつかあると思う。常に衝撃を与える展開、グロデスクで圧倒的な美術、緻密に貼り巡らされた伏線や設定(余りに緻密であったため、そこに想像の余地を残したとは言い難い事をことわっておく)。もちろん全て一級品であった。しかし、あの異常なほどの盛り上がりはそれだけでは説明がつかない。その盛り上がりは、幸運、しかし幸運と呼ぶのは余りにも不謹慎すぎる出来事の影響で生み出された。

魔法少女まどかマギカの放送は、一旦停止した。それも、9話という、多分最もショッキングな話の放送後停止した。なぜか。東日本大震災の影響だ。

(東日本大震災のおかげでアニメが盛り上がったというのは、まことに不謹慎で、様々な人が目にして気を悪くする文言だとは承知しているが、しかしその異常な盛り上がりの当事者として、私が見て、考えた、「どうして盛り上がったのか?」をありのまま書きたい)

最も続きが気になるタイミングで、放送は休止された。その期間は実に一か月である。その間、放送を楽しみにしたファンは生殺しであった。あれほど生殺しという言葉が適当な場面はそうそうなかった。

その一か月間、彼らはどうしていたのか。他の番組で紛らわせようにも、謹慎中でどこもまともな番組がない。流れているのはACのCMばかりである。彼らに、生殺しからの逃げ場はなかった。そんな彼らが行ったのが、大きく広がる想像、予想、深い考察、分析…そして彼らはそれを、二次創作という形で花開かせた(噴出させたという言葉の方が合っているかもしれない)。

想像、予想、考察、分析を肥料に、生殺しのエネルギーを日光にして、それはもう大量の二次創作が芽吹いた。そこら中に想像があふれ、誰もが創造する事を我慢できずに、自分なりの形で昇華させた。そしてその想像/創造の行き先は、SNSであったのだ。SNSは、大量の想像/創造であふれかえった。誰かの創造を見て楽しみ、誰かに自分の創造を見てもらい楽しみ、そこには想像/創造の楽しさがあふれていた。

この騒ぎによって初めて魔法少女まどかマギカを知る人も少なくなかった。前述した謹慎の事情で、その人々もまた暇を持て余していた。暇を埋めるために話題になっているこのアニメを見、そして同様に生殺しとなり想像/創造を行い…このスパイラルによって盛り上がりは(さながら主人公の持つ宿命の如く)巨大に膨らんでいった。

これが当事者である私が考えた、盛り上がりの最も大きな原因である。魔法少女まどかマギカは、図らずも「残りの三話」という大きな想像の余地を作ったため、想像/創造を促進することになり、盛り上がったのだと、私は思う。

(2011年には、魔法少女まどかマギカと同じくらい面白いアニメはいくつもあった。その一つがsteins;gateである。展開や設定の緻密さから言っても、面白さだけでは互角か、それ以上のものであったが、盛り上がりでは大きな差をつけられた。それはやはり、空白の期間が無かった事や、原作があり、ストーリーがすでに分かっている、つまり「想像/創造の余地」が魔法少女まどかマギカに比べて小さかったからではないだろうかと私は思う)

このように、想像/創造の余地を作るという事は、アニメに限らず、どのようなコンテンツを盛り上げさせるにあたっても、最も重要な事の一つではないだろうか。そしてもちろん、コンテンツを盛り上げることにつながる二次創作を制限するのはもってのほかで、二次創作は奨励されるべきである(卑猥な同人誌をも奨励してしまう事になるなど、複雑な問題ではあるのだが)。

(「想像/創造の余地について」は数回のシリーズを予定しています)

(想像/創造の余地について② ~けものフレンズが残した「余白と土壌」~ - チンパンジー言語訓練ブログへ続きます)

(このブログは私の言語訓練に用いられます)