チンパンジー言語訓練ブログ

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けものフレンズを影から支えた「海賊」(上) ~バイラルマーケティングの証明~

かつては、時間が潤沢にあり、娯楽は希少だった。しかし現在では、娯楽が潤沢にあり、時間は希少である。潤沢な娯楽は、「消費者の注目(消費者の限られた時間)」という希少な資源を奪い合っている。

 

このような事が、クリス・アンダーソン著の「フリー」に書いてあった。

アニメにも同じ事が言える。たくさんのアニメが放送され、それらが消費者の注目、消費者の限られた時間という資源を互いに奪い合っていると言えるだろう。

アニメファンたちは新アニメが始まる時期になれば、たくさんのアニメの中から今期は何を見ようか、何は見ないでおこうかを、自分自身の時間や、他人と相談する。アニメが始まれば、どのアニメの視聴を止めようか(どのアニメを「切るか」と言われている)、どのアニメは視聴を続けようか相談する。

アニメのプロデューサーたちは、自分たちのアニメが希少な資源である注目を得るために、日々苦心しているに違いない。アニメが潤沢になってから、彼らは変わらず戦い続けているのだろう。

しかし最近、アニメのマーケティング、特にマーケティングの4Pで言うところのプロモーションは、一昔前と比べ、その姿を大幅に変化させている。

一昔前のアニメのプロモーションとは、テレビやYoutubeで予告映像を流したり、番組ホームページや公式ツイッターを作ったり、アニメ雑誌で宣伝したりといった事がメインであった。アニメのプロモーションは、一話が始まる前に集中的に行うのが普通で、ひとたびアニメが始まってしまえばその攻勢を弱めた。

そしてアニメの内容は、一話から見る人を飽きさせないために面白くしてあるのであって、アニメを見る人に話題にしてもらい、他に伝染させるというプロモーションはあまり意識されていなかった。

一昔前のプロモーションは、それを行う主体がアニメ制作側であった。しかし、最近の新しいプロモーションを行う主体は、アニメを見る視聴者側なのだ。

新しいプロモーションは、SNSを用いる。例えばツイッターやpixivやlineだ。このようなSNSで、「視聴者に」大きく話題にしてもらえるように仕向ける事により、より安く、かつ効果的にプロモーションを行うのだ。SNSが発達した最近だからこその、イマドキプロモーションと言えるだろう。このようなプロモーションは、バイラル(ウイルス性の)マーケティングと呼ばれる。

バイラルマーケティングは、企業側からではなくて、友達や知り合いからのマーケティングであるというのが大きな特徴だ。企業側からいくら熱心なプロモーションを受けても、「それって結局企業さんの言い分でしょ」と、どうしても距離ができてしまう。しかし、友達が話題にしていれば、企業側が話す時のように色眼鏡で見る事はないだろう。

このように、消費者の側にもぐりこんでプロモーションできるのがバイラルマーケティングの優れている点なのだ。

そして今年、このバイラルマーケティングの有効性を強烈に証明したのがご存知、「けものフレンズ」である。

多くのアニメファンはおそらく、今年の初め「けものフレンズ」を見ようとしていなかっただろう。また、けものフレンズを見る事に決めた数少ないアニメファンも、それなりの割合が一話や二話で「切って」いたのではないだろうか。

しかし最終的には、けものフレンズは多くの人に見られることになった。つまりこのアニメは、ほぼ純粋にウイルスの感染力だけでこの大爆発を起こしたのだ。

ちなみに私は、けものフレンズバイラルマーケティングについて、「二次創作マーケティング」、「考察マーケティング」と名付け、過去にそれについての記事を書いている。興味があれば読んでいただきたい。

 想像/創造の余地について② ~けものフレンズが残した「余白と土壌」~

100人中1人に気付かれるコントロール ~けものフレンズたつき監督の「考察マーケティング」の巧さ~

しかし、このバイラルマーケティングをアニメで行う場合、一つ大きな弱点があるのだ。

 

(けものフレンズを影から支えた「海賊」(中) ~スロースターター~ へ続きます)

(このブログは私の言語訓練に用いられます)