チンパンジー言語訓練ブログ

このブログは私(チンパンジー)の言語訓練に用いられます。@chimp_liuwusi

フリーブックスに関して(上) ~お情けで食う飯~

フリーブックスが閉鎖されたという事で話題になっている。大胆な海賊っぷりが話題になったらしい。私も噂は聞いていた。閉鎖に対して、若者には残念がる声が目立ったが、大人やオタク界隈では歓迎する声が大きいようであった。

残念がる若者、批判する大人とオタク。はっきりと分かれたこの対比構造は面白いと思った。

ユーチューブやニコニコ動画などで無料のエンターテイメントに触れ続け、LINEなど無料のアプリを使いこなし、インターネットゲーム、スマホゲームなど「基本無料」で遊んできた今の若者にとって、「フリーであること」は当たり前のことであって、フリーブックスのようなサイトを使う事に何の抵抗もないのである。言わば彼らは、「フリージェネレーション(無料世代)」なのだ。

ならば、フリーブックスに対する姿勢の違いは、ジェネレーションギャップとも言えるだろう。使っている人にモラルが無いのではない。若者と大人で、「当たり前」が違っているのだ。

フリーブックス閉鎖に際して、利用していない私は何とも思わない。だが、大人とオタクたちが若者たちをひたすら叩いているのを見て、少し残念だと思った。彼らは、新しい「当たり前」に適応できていないように見えるからだ。若者たちにとっての「当たり前」は、時代の流れを考えればごく自然なものだと私は思う。

データ通信のコストがこんなにも低下し、スマホカメラやスキャナーなどセンサー類がここまで普及したこの世の中では、シェアしない方が難しいくらいである。若者たちにとって、情報、データとはつまり「無料でシェアされるべきもの」だ。そこに著作権が絡むか絡まないかは、彼らにとってごく小さな問題である。そんなものを気にしなくとも、数秒スマホをいじれば簡単にシェアできてしまう。

そもそも実際問題として、音楽やアニメ、フリーブックスで言えば漫画だが、そういった「データ」にできるものが、インターネットを通じて無料で出回る事を止める手段はどこにもない。

 

もしあなたがフリーブックスのように漫画が無料で出回る事を阻止したいのであれば、まずキヤノンエプソンの工場を爆破するのがいいだろう。奴らはプリンター付属のスキャナーを世に普及させた張本人だ。スキャナーさえ無ければとりあえず新刊はスキャンされないし、シェアされることもない。これで安心だ。

しかしスマホカメラの性能向上も厄介だ。スキャンしたデータでなくても撮影したデータで十分漫画は読めてしまう。ならばサムスンソニーの工場も爆破しなければ。

 

現実的じゃない?だったら少し回りくどいが、アップロードした人物を特定して厳罰に処せばいいだろう。人数は多いだろうが、しらみつぶしにしていけば少しずつ減るはずだ。

いや待てよ、アップロードするのは初めにスキャンした人だけではない。データをダウンロードした全ての人が、いつでも同一のデータをシェアという形で再びアップロードできる。アップロード者はさらに膨大な数に膨れ上がる。しかもシェアには国境がない。海外の法律は日本とは勝手が違う。

これら全てをしらみつぶしにできるだろうか。それはもう素晴らしい額の捜査費が必要になりそうだ。さて、どの税を引き上げよう。消費税がいいだろうか?

 

某毛バーガーを思い出して欲しい。初めに画像をアップロードしたのはウイルスに感染した男性ただ一人だが、そのデータはダウンロードとシェアの繰り返しにより拡散し、今もインターネット世界に息づいている。

この場合、画像をシェアした人物全てを捕まえることができるだろうか?実際にはインターネット世界から写真の数枚すら抹消できない。

 

実際問題として現在、海賊版を絶滅させるのは非常に困難である。

(絶滅させるにはあまりにもコストがかかりすぎる。そのコストは誰が負担するのか?漫画の値段に乗せればさらに海賊版を増長させるだろう。罰金で賄おうとすると払える額になりそうもない。払えなければ捜査できないので税金から持ってくるしかない。)

つまり、「データ」という無限に、かつ完全に複製できて、その上簡単に共有できるモノを売ってビジネスができると思っているのが、完全に時代遅れで間違っているのである。

現在データを売るビジネスを支えているのは、実質的に良心と無知だ。そんなお情けで成り立つようなビジネスが今後も持続できると本気で思っているのだろうか。

(某ヤングマガジン編集者はフリーブックス閉鎖をおおっぴらに喜んでいるそうだが、まったく残念でならない。編集者であるにもかかわらず、どうやら彼には危機感というものがないらしい。自分たちの古臭いビジネスモデルが正しいと信じ切るあまり、時代という現実が見えていない御様子である。彼はきっとフリーブックスがもたらした利益に永久に気づくことはないのだろうと考えると、ヤングマガジンの先が思いやられる。まあそもそも読んだ事ないのだが。)

フリーブックスはなくなったが、既にデータは広く拡散した。また、フリーブックスにあれだけのデータが集まったのは、そもそもtorrentなどでインターネット世界に初めから広く拡散していたからだというのは明らかである。

「情報はフリーになりたがる(Information_wants_to_be_free)」。1984年、第一回ハッカーズカンファレンスでのスチュアート・ブランド氏の言葉だ。そして実際にフリーになり始めている。今はそういう時代なのだ。

「フリー」の襲来は、テクノロジーの波の襲来と同義である。人間は津波で人が流されたからと言って津波自体を無くそうとはしない。なぜなら津波は、人間の力ではどうにもできない「環境」だからである。

ならばクリエイターは、この時代、この環境に適応する、つまり「フリー」を味方につけるのが賢いやり方であるはずなのだが。

(フリーブックスに関して(下) ~「フリー」に適応せよ~ へ続きます)

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