チンパンジー言語訓練ブログ

ぜひ目次を見て下さい(一番上の記事です)。twitter:@chimp_liuwusi

オイコノミアを見て① ~キングコング西野氏は正しいが、うるさい~

(①はフリーミアム編、②はクラウドファンディング編である)

 

はじめに言っておくが、この記事は題の通りキングコング西野氏の意見、やり方を肯定する内容である。肯定するのは私自身がもともと、オープンソース、フリーカルチャー支持派であり、そして金儲けが大好きだからである。

しかし、西野氏の考え方、やっている事を肯定する前に、まず私がしなくてはならないのが西野氏への感情的な批判だ。気持ちよく肯定するために、まずイライラという感情の膿を出しておこうかと思う。

 

(今回のオイコノミアだけを見て思ったことだが、キングコング西野氏はとにかくうるさい!3Dアニメーション会社の人が話している時だったり、又吉氏が話している時に「わかるわかる」うるさすぎる!

撮影中ですけど!3Dの人の話聞きたいんですけど!酒の席とか女子会みたいなノリで話をさえぎるのはマジでやめていただきたい。うるさい。3Dの人マジで一回キレかけてたんじゃなかろうか。

又吉氏なら相手がちゃんと話し切ってから、「あ~でも分かる気がしますね」と静かに初められるのにどうしてそれができないのか。オイコノミアという番組が分かっていなかったのかもしれないが、もうマジでうるさかった。

それと、奴隷解放宣言以来二度目に見たブログが過激すぎる。あんなもん炎上するに決まってる。炎上とかもういいのでもう一度又吉氏と一緒にキングちゃんに出て何かしらひどい目にあってほしい。)

 

今回のオイコノミア「マンガとアニメ 熱~い現場の経済学」は、まれに見る当たり回だった。この記事では西野氏が触れた分業、クラウドファンディングフリーミアムを中心に触れるが、同人活動やフリーカルチャーを支持する私としては「ブラックジャックによろしく」の例で、フリーな二次利用の有用性にも触れられていたことに一番驚いた(今回は触れないが)。

 

ではまず、炎上の原因となったフリーミアムから先に触れていく。

フリーミアム - Wikipedia

フリーミアムとは、簡単に言えば「一部無料一部課金」だ。

その歴史は古く、約100年前にキング・ジレット氏(カミソリのジレット社の創業者)がカミソリの本体を無料で配り、替え刃を高く売る「替え刃モデル」を行ったのが始まりだ。今でもビジネスホテルでは、無料でカミソリの本体が配られている。【キング・キャンプ・ジレット - Wikipedia

このフリーミアムについては、クリス・アンダーソン著「フリー 〈無料〉からお金を生みだす新戦略」に詳しくのっている。フリーミアムに興味を持ったのであればぜひ読んでいただきたい。超名著なので後悔はしないはずだ。【Amazon CAPTCHA

 

このフリーミアムを絵本に用いるということについて西野氏の意見を要約すると、

①絵本を買い与える主婦には時間とお金がない。

②絵本の買い物を失敗できないが、忙しいので本屋で長々と立ち読みできない。

③結果自分が子供時代読んだ絵本を買い、新しい絵本はなかなか売れない。

④新しい絵本を売るにはウェブ上での試し読みが有効と判断した。

という感じだ。

lineblog.me

 

私は絵本についてあまり詳しくないが、理屈としてはバッチリ通っているように見える。絵本も実際売れているらしい。つまりこの判断は正しかったというのは、結果が既に証明している。どれだけがフリーミアムの影響でどれだけが炎上の影響かは分からないが。

そもそも、この絵本をどう売ろうが西野氏の勝手である。ジレット氏はカミソリを無料で配った結果潰れることになるであろう他のカミソリ屋のことを、いちいち気にしなければならないのだろうか?

 

さて、この西野氏の例では面白い、他とは異なっている点がある。西野氏が絵本の一部のページではなく、全部を公開したという部分である。

私がよく思うのは、書籍や漫画とフリーミアムは多分相性がよくない。話の全部が無料で読めるなら、お!読んでみようかなという気になるのだが、無料で読めるのは何巻まで、何章までと最初から制限されていると、なんとなく読む気が起きないからだ。

 

(FREEにある言葉を使うと、全編無料だと「心理的取引コスト」がほとんど一切かからないのだが、一部無料だとほんの少しかかってしまうのだと思う。

つまり、一部無料の場合はその一部を読み終わった時に、続きを購入するのか、しないのかの判断を迫られる事になる。その判断には、「本当に値段に見合った物か?」、「今月の小遣いでやりくりできるか?」などといった事を「考えなければならない」。その「考えること」自体がコストなのである。これが「心理的取引コスト」だ。

フリーミアムを語る際、「心理的取引コスト」は超重要だ。有料の場合消費者にかかるコストはお金だけではない。「心理的取引コスト」もかかっている。つまり無料にすると消費者は金銭コストだけでなく、心理的取引コストからも解放される。

しかし逆に言うと、いくらお金がかからなくても心理的取引コストがかかる場合には、無料にも関わらず消費者が敬遠するということもありえるだろう。「何巻までタダで読める」や「エネルギーが溜まっている分だけ、無料で遊べちまうんだ」でなんとなく読む気、遊ぶ気が失せるというのは、そのいい例ではないだろうか。

また、無料でなくても心理的、その他取引コストを少なくすることで人を引き付けることもある。いい例がAmazonだ。

もっと安いところもあるのにAmazonを使ってしまうのは、いちいち登録などをしなくてもいい注文の気軽さ、いつも通り注文していつも通り届くという安心感があるからだ。つまり、値段で他より少し高いことがあっても、「登録する面倒」や、「心配すること」などといった取引コストを低く抑えることで、金銭コストと取引コストの合計価格では優位を保っているのである。

何かを無料にしていても、この「心理的取引コスト」についても意識されていない場合、無料の効果が思うように得られなかったり、無料にして逆に避けられるなんて事もしばしば起こるため、ぜひともその点は注意していただきたい。)

 

話を戻そう。 

無料の効果を最大限発揮するには全部公開が一番なのだが、本や漫画を全部無料で公開すると商売にならないため一部無料にするしかない。それによって敬遠する人も多少出て来るだろうが仕方のないことだ。

いや待て、絵本だったらどうだ?

絵本をウェブ上で全編公開することによって、本や漫画のように売れなくなるということが起こるのだろうか?いや、そんなことは多分起こらないのだ。

なぜなら、よほど前衛的な家庭でなければ、パソコンやタブレットを用いて子供に読み聞かせをするということはありえないからだ。

印刷できると言う人もいるかもしれない。だがおそらく、実際の絵本は印刷したものに比べてかなり綺麗なはずだ。よって絵本を買う大きなメリットがそこにある。

絵本は盲点だった。

つまり絵本は、ウェブ上で全編無料公開することによって最大限の顧客にアクセスしつつ、実物を買うメリットも確保することができるという、フリーミアムにものすごく適している数少ない財の一つと言えるだろう。

 

西野氏のお金の奴隷解放宣言が思いつきなのかは分からないが、「絵本の新しいビジネスモデル」という金鉱を発見したのは紛れもない事実であると思う。

理屈の上では明らかに絵本はフリーミアムと相性がいい。そしてそれは売り上げによっても証明されている。これからは西野氏のやり方が絵本業界の普通になっていくのではないだろうか、と私は思う。それぐらい相性がいい。

 

(今回のオイコノミアのロケは、漫画が三巻まで置いてあるという漫喫的な場所で行われた。全部公開するフリーミアムの西野氏の背景に、一部公開するフリーミアムの漫喫的な場所という、フリーミアムのコントラストがあって面白い画面だなと思った。私個人の意見で言えばこれから先そのコントラストは、成功と失敗のコントラストになるのではないかと思う。あの漫喫的なやつはどうもうまくいきそうな感じがしない。「なんとなく」だが。)

 

(この記事は、オイコノミアを見て② ~クラウドファンディング×分業~へ続きます)

 

 

(下は、お金の奴隷解放宣言に対する、「FREE」を読む前の私の反応である。DIWO的思想が少し入っている)

クリエイターは、もういらない ~お金の奴隷解放宣言(笑)騒動について~

 

(このブログは私の言語訓練に用いられます)