チンパンジー言語訓練ブログ

ぜひ目次を見て下さい(一番上の記事です)。twitter:@chimp_liuwusi

フリーカルチャーの「フリー」って何?③ ~継承という分業~

(この記事は、

フリーカルチャーの「フリー」って何?① ~表現の民主化へ~

フリーカルチャーの「フリー」って何?② ~創造コストの削減~

の続きです)

(簡単な要点まとめはこちら)

 

さて、前回は「創造障壁」と「創造コスト」についての説明と、創造障壁を低くし、創造コストを0に近づけるためにツール(道具)が進化しなければならない事を説明した。

しかし、創造の自由=創造コストゼロはツールの進化だけで達成されるものではない。ツールと同時に、創作を取り巻く制度、環境の整備が不可欠である。具体的に言うと、引用と継承の制度である。

例を挙げて説明しよう。

 

あなたは趣味でMMDアニメーションを作っているとしよう。

けものフレンズを見て感動したあなたは、博士と助手のスピンオフMMDアニメを作る事を決意する。

MMDを作るためにまず必要となるのは、キャラクターの3Dモデルである。しかし、モデリングツールがどれだけ優秀でも、モデルの制作にはかなりの労力(創造コスト)がかかるだろう。

私はMMDモデルを作ったことは無いので予想なのだが、アニメを細かく観察し、それを3Dへ映しこみ、それに関節を設定し…的な作業が必要になるのかなと思う。いくらツールが優秀でも、これは大変だ。

 

ではこの場合、どうすれば創造コストをツール以外で削減できるのか?

その答えが引用と継承である。

例えば、他の誰かが博士の3Dモデルを既に作っていたとしよう。もしその3Dモデルのデータ(ソースコード)が公開されていれば、あなたは博士の3Dモデルを作らなくて済む(引用できる)し、博士の3Dモデルに少し手を加える(色、大きさなど)ことによって、助手の3Dモデルを圧倒的低コストで作る(継承できる)事が可能なのだ。

このように、データを公開して引用、継承させることが、大幅な創造コスト削減につながる。これはオープンソースと呼ばれる。

 

博士のモデルを作った製作者からすると、モデルを公開することはあまりメリットが無い、つまりただの慈善事業に思えるかもしれないが、実はそうではない。

公開することによって、製作者はわざわざ自分の手で助手のモデルを作る必要がなくなったのだ。自分のモデルを元に他のフレンズのモデルが作られる可能性もある。博士のモデル製作者は、データ公開によりそれらのモデルをゼロコストで自然発生させ、その果実を利用する事が可能になるのだ。

3Dデータという種をインターネット世界へまき、その種が世代を重ねて広がってゆき、のんびり待っていればそのうち実った新しい3Dデータという果実を収穫できる…という感じだ。データの公開は慈善事業などではない。未来の無限の可能性への投資だ。

 

継承(オープンソース)によって、みんなが創造コストを大幅に削減できる理由は、その実態が「大規模な分業」だからである。

この例の場合、博士のモデル製作者と、そのデータを利用して助手のモデルを作ったあなたは分業、協力していると言える。

データ(ソースコード)の公開とその利用によって、データを通じ、世界中の人、過去の人、未来の人…という、膨大な人数で分業することができるのだ。

通常の意味での分業と違い、何が作られるか制御することはできない。公開した人が望んだものが生まれないかもしれない。しかし、想像もできなかったものが生まれることもあるだろう。創作がビジネスでなければ、この無秩序はよい影響を与えることが多い。

 

このように、ツールの進化だけではなく、データを引用、継承させる環境を整備するというアプローチでも、創造コストを削減することが可能である。

(ちなみに

「引用」:公開されているデータの一部や全部をそのまま使うこと。

「継承」:公開されているデータに一部自分で手を加えて使うこと。

と勝手に呼んでいる)

 

これら二つ(ツールと継承)のアプローチによって、

創造コストが下がる⇒創造参加者が増える&データ公開による損が縮小しデータ公開促進⇒分業できる人数が増える⇒創造コストが下がる

の良循環が起こせるのではないか、結果、全ての人がクリエイティビティを発揮できる社会、「創造が民主化された社会」を実現できるのではないかと私は考えている。

それはつまり想像力=創造力の社会である。(想像:頭に思い浮かべる 創造:想像を現実のものにする)

誰もが想像したものを現実のものにできる世界…実現したら絶対に面白い世界になる。そう思わないか?

 

(データを公開するということは、創作から金銭での利益回収ができなくなるということだ。その場合創作コストが多くかかると損失がかさみ、創作活動は持続不可能になってしまう。しかし、以上のように創造コストを0に近づけることによって、損失額を小さくすることが可能である。つまり、このサイクルは持続可能であると私は思っている。)

 

長くなったが、以上が「フリー」を追う私の思想の説明だ。

 

この記事を書くきっかけとなった「表現の民主化」という言葉との偶然の遭遇によって、参考でできそうな言葉や本にたくさん出合えた。一応それらをここに列挙しておく。

 

表現の民主化

www.meiji.ac.jp

 

 

当事者デザイン

当事者デザインという言葉との出会い | Makoto Tomita

(この記事のおかげでいろんな言葉や本と出会えた。)

 

創造社会、パターンランゲージ

Amazon CAPTCHA

井庭崇のConcept Walk

 

一般化

note.mu

 

読むべき本が一気に増えた。

 

(このブログは私の言語訓練に用いられます)